ハチドリの一滴

一滴の水を懸命に運んでアマゾンの山火事を消そうとしたというハチドリの民話ではないが、TEAM二本松が岳温泉に整備中の「子どもための運動場」の石拾いと草取りに行ってきた。二本松市福島第一原発から55キロにあるが、現在でも子どもたちにとっては、たいへん厳しい環境にある。TEAM二本松は、二本松市にある真行寺の住職で同朋幼稚園の園長である佐々木範道さんが、放射能から子どもたちを守る!と立ち上げたNPOだ。TEAM二本松の活動はNHKドキュメント「3・11大震災 シリーズ28 お母さん、わたし子供が産めるの 〜原発事故と祈り〜」 をたまたま見ていたので、友人からこの話が来たとき、よしゃと二つ返事で引き受けた。岳温泉は、安達太良山がくっきり眺められるグランドとしてはばっちりの場所だ。土壌の入れ替えもすみ、心配した芝の生育も復活していた。16日の線量は、0.09usv/h。なんとか走りまわれるかなという線量だ。こちらの作業は、1時間ほどで終わったので、二本松市内にある五社稲荷神社へ。神社の敷地にある公民館で、子どもたちの祭太鼓の練習があるが、ここの放射線量が高いということで、建物のまわりにある竹林の除染を行う。木を伐採し、枝を払う。それを袋づめにする作業。平均年齢58歳。最年長76歳。若いもんには任せられないと集まった男女45人。3時間の人海作戦が効を奏し、2usv/hが、0.8usv/hと3分の1に減少。喜ばれた。

同TEAM の副理事長の佐々木さんは、短パンに半袖だが、こちらは、長袖、長靴、マスクと重装備。このいでたちは、許していただきたいという気持ち。なんだかとても申し訳ないが、きっぱりお互いが割り切ることが今は大事だ。子どもたちを守りたいことは一致しているんだから。国や東電の責任追及、脱原発、瓦礫受け入れは譲れない。が、福島に住んでいる人達とは較べるべきもないが、多少のリスクは負う覚悟はある。今、一番苦しんでいるのは、幼稚園や保育園の責任者だろう。国のいう安全を盲信するか、自ら子どもたちを守ることに徹するか。民間の幼稚園や保育園同士がつながって、それを市町村の行政が支援する。そんなイメージがわいてくるが、たとえば、鎌倉市の幼稚園などは、放射能について知りたくないという感じなのが気になる。明日はわが身かもしれないのに。なお、佐々木範道さんの奥さん、るりさんが、9月30日の小田原映画祭「内部被曝を生き抜く」の上映会で話をする。彼女の話を聞いて、自分にできることを考えてみたい。私たちは、ハチドリの一滴を「焼け石に水」と考え始めているのではないだろうか。