福士式地下かんがい法

この間知ってびっくりして、そして納得したのだが、平均日本の一家庭でお菓子に使われるお金は1年で80,000円 (1か月6,600円)。主食のお米代の実に4倍だ。田んぼが荒地になるのも無理はない。お菓子の原料は、小麦粉、砂糖、油、乳製品、化学添加物。ほとんど輸入だ。お菓子を食べて日本の田んぼが青々するわけがない。お菓子でできる身体とお米でできる身体がどう違うか、説明する必要もないだろう。

お米の自給率はほぼ100パーセント。これは何としても維持したいと都会の人も農村の人も思っているに違いない。それでも、このままいけば、どうしても減反せざるをえない。でも、日本の大豆は自給率は、一桁。350万トンの輸入大豆に対して、国産大豆は20万トンにすぎない。輸入大豆は、いうまでもなくほぼ遺伝子組み換え大豆だ。だから、減反する田んぼを大豆畑にして、この数字を逆転する。これしか、日本の農業を変革できない!と考えたのが、青森の福士武造さんだ。

水をたっぷり張った田んぼのすぐ隣で、大豆が勢いよく芽吹いている!田んぼの地下に埋設された水路や河川に工夫し、農家が自分の手で簡単にできる作業で排水用と給水用の2本のパイプを入れて、田んぼの排水性を飛躍的に良くする技術だ。給排水マスを使用して自由に水の出入りをコントロールする「福士式地下かんがい法」だ。水田から水を抜き、乾いた畑に変える田畑転換とは。いいね。

政府の補助金つきの大規模な地下かんがい法はあるが、この方法だと田んぼを集約しなくてはならない。福士式なら、コストは10aあたり約10万円、小さな段々畑でもできる。

このかんがい法だけではなく、乾いた土にお米の種を機械でまく直播き法など、高齢者にも楽にできるお米の作り方を伝授している福士さんに会うたびに、言われる。「都市と農村は対立してはだめだ。農民は農民だけの利益のために生きてるのではない。かろうじて、日本人の食を支えるという使命感をもって米作りをしているが、TPPに参加すれば、それも難しくなるだろう。このあたりで農業を本気で見直してもらわないと日本の未来が危ない」。

理化学研究所の戎崎 俊一氏が「国家戦略の転換」の中で福士式地下かんがい法について取り上げている。
http://www.jahou.net/ebisuzaki/index.cgi?no=32