[暮らし]月はどこに

満月の今宵、もうひとりの魔女は、雷神につかまって、またこの地球に戻ってきちゃった。まぁ、再び、逢えて私もうれしい。立つこともできす、座ることもできず、根を張る土を失って、海の子にもなれず、ただひとつ星の子になってお月様の側に戻りたかったのに。ああ、見えるものを失うよりも見えないものを失うほうが、どれだけつらいか、この国の子どもたちが、ならなくてもよい病になってどんなにか悲しく苦しい毎日を送っているか。と思ったそのとき、大きな黒い手で、むんずと背中を捕まえられて箱根の山に投げ下ろされ、ころころと転がって気がついた。やることをやらないと魔女にはなれない。まして、星の子にも.

雷は海に堕ちて、雨は降らない。