スローな村のJASメロン

newmoonakiko2006-07-29

北海道新篠津村。人口4000人の農業の村だ。村のHPを開くと、「しんしのつ時間」という言葉が目をひく。「しんしのつ」時間か。1日はみな同じ24時間だけれど、ここでは、ゆったりとした時間が流れているように感じられるのだろう。時間も相対的なものだからね。夫婦で農作業をしに出かけても、あまりに農園が広くて1日中会えないという話も、いかにも北海道らしい。今では携帯があるから、簡単に連絡がとれるというが。
この村では全国でも珍しい土壌を診断するセンターがあり、村あげてオーガニック作物の栽培に取り組んでいる。大規模農場での有機農業化は、当然ながら難しい。でも村あげてなら、できる。できるのではないかという挑戦だ。
その新篠津村の早川仁史さん栽培のメロン。今、人気の赤肉メロン、ルピアレッドだ。昔は、桐の箱入りの超高級メロンを羨望の眼差しで眺めていた私とすると、JAS栽培メロンが1個2500円程度で買えるなんて、素晴らしいと思う。今でも高級果物店では石油食いの慣行農法ハウスメロンが(のちにあのメロンは農薬の塊だと聞く→これは、メロン栽培者の告白!そうか、小さい頃、やっとゲットしたメロンを食べた唇がしびれたこともあったっけ)高い価格で並んでいるが、本当はこんなメロンが桐の箱に入らなくてはと思うがどうかな?いや、そうすると庶民の口に入らなくなちゃう。知る人ぞ知るメロンでいいね。

ラジオ深夜便柳原和子さんの話を聞く。早口で力ある語りぶりは変わらない。理路整然とアジ演説をぶつ、20歳のヤナギハラそのものだ。彼女の功績は医者と患者の階級的差別感をとり払い、医学者に患者の人間としての在りようを届けたことか、とふと思った。今だ完治することができない「がん」だからこそ、患者と医者が本音で語り合わなくてはならない。ある意味、「がん」の身を医学にまるごと差し出したといっていい。勿論、その根源にあるのは、生きたい、もっと生きたいという切実な叫びだと思う。それを自己中心的と見る向きもあるが、私はそうは思わない。彼女はその思いを通して、生命を扱いながら無機質な?医学を人間まるごと扱う医学に変革したいということではないか。私が同じ立場にたったら、違う方法を選ぶとは思うが。それにつけても、この先の彼女はホスピスという。「がん」という不条理を生き、徹底して戦って死んでいくのか。こんなメロンでも食べながら、私たち共通の恩師の思い出話でもしたいものだ。