上野千鶴子著「生き延びるための思想」

newmoonakiko2006-09-09

1970年代のウーマンリブの風に乗っていくはずだったのが、落とし穴にはまるような恋愛をして、一直線に母親になった。母親とフェミニズムほど、すわりの悪いものはない。男と同じようにとか、男並みとかそんな考えはまったく脳裏から消えた。
ただ、イラク収容所のアメリカ女性兵士の虐待写真を見た時の衝撃は忘れられない。いやなものを見てしまった。女はみな平和論者だとは思わない。しかし、男並みになることの結末がこうならば、未来を生き延びるためにフェミニズムは返上してもいい。上野千鶴子さんの著書とも長い間、ご無沙汰だった。「当事者主権」では、そこに生きている人が声を上げていくことが社会を変革すると主張している。次に読みたかったのが、この「生き延びるための思想」。教育基本法の見直し、憲法改正の機運。なんとも末恐ろしい世の中になってきた。男女共同参画の目的は、世界の平和ではないか。義務と権利の平等のために人間性を失った、アメリカのフェミニズムは不幸だと思う。このあたりを、さすが上野千鶴子さんだ。明確に問題提起している。ただね、30年たってここまでかという思いもある。あの、女の自立、自立っていう大騒ぎはなんだったんだ。子どもをもつ母親に読んでもらいたいが、とりあえず、読みやすい「当事者主権」を。