[食]有機堆肥づくりの先生に会う

newmoonakiko2006-12-03

ひょんなことから、堆肥・育土研究所を主宰する津市白山町在住の橋本力男さんにお会いする。有機農業に欠かせない堆肥づくり。しかし、化学肥料万能の時代に押されて、有機堆肥の研究、検証は、国レベルでも行われていないし、いわんや大学でも有機農業の教育などは一切実施されていない。有機農家の経験知に頼るしかないのだが、これも数値で表せるものではなく、経験を通して体で覚えるような世界。橋本さんは、岡田茂吉の自然農法から学んで、自然の摂理にそった堆肥づくりを行い、指導にあたっている数少ない人。堆肥舎では、土ぼかし、モミガラ堆肥、草質堆肥、落ち葉堆肥、培養土(すべての堆肥をミックスしたもの)そして生ごみ堆肥。どれも、これも、おいしそうな堆肥。土のご飯と考えると、おもしろい。鶏糞も多少入ってるが、ほんのわずか。土は草食であっていいというのも、自然の摂理にあっているかも。決め手は、土着の有用微生物だ。様々な動植物が生きては死んでいく森の土には、たくさんの微生物が住んでいる。その土と、かべ土を利用して、モミガラ、米ヌカ、落ち葉、草などを発酵させて堆肥にする。目には見えない微生物の働きで、それこそ上等な土のお食事ができるのである。この堆肥を上手に使っていくと、野菜の病気も抑えることができるという。医食同源というが、土も生き物と考えれば理解できる。微生物が栄養を作るのは、人の体も土も同じだ。橋本さんが積み上げてきた堆肥のノウハウを教えて欲しいとたくさんの人たちが視察にくる。土に対する考え方と堆肥づくりの方法を学んでいく人も増えているという。写真は、橋本さんのダイコン畑。丸い形の草は土がよくなっている証拠と聞いていたが、その通り。草と仲良く共存しているダイコンが顔を出している。


さて、午後はEM技術交流会三重大会。石の上にも13年。農業から始まっていたが、今では川やお堀の浄化活動にEMが実績を上げている。ことに四日市の河川浄化活動は、公害のまち四日市を環境のまちに変えることができたと市役所の職員が事例発表。ヘドロ、悪臭で困っていた堀川を気持ちの良い川に市民の力で変えていったのは、感動的。市の職員が、「私たちもできることは全力を尽くしたい」と語り、会場から拍手が起こった。EMは、自然界にある有用微生物が組み合わさったもの。いわば、森にある有用微生物を培養してボトルに詰め込んだものだ。おもしろいことに空気の好きな微生物と空気が嫌いな微生物が一緒になっている。カップリングの妙。森には好気性も嫌気性の微生物も仲良く共存しているのである。一緒にいることが自然なのだ。もっとも、開発者の比嘉先生は、「もしペットボトルがなければこんな離れ業はできなかった」と言っている。このEMが、水質も浄化するというのは、橋本さんの「よい堆肥はきれいな水を作る」というのと原理は同じなのであろう。朝から晩まで、微生物の話。話ではなくて、帰ったら土いじりでもしよう。