源氏物語

newmoonakiko2007-08-13

源氏物語が生まれて来年で1000年になるという。いわば、一般教養として円地文子訳で読み、貴族社会における男女の物語を一般の恋愛論として瀬戸内寂聴訳で読み、それから久しい。手を変え、しなを変え、時代にマッチできるオリジナリィティ。紫式部が1000年も昔に物語として表現できたことは、すばらしいことだと思う。
昨夜、寂聴さんが、「光源氏であっても、尼さんだけには、手を出せない厳しい戒律があったから、どの女性も最後は尼になると言って、源氏の本心を試していたのよ」と話していた。なるほどね。
続いて、今尼になりたい女性にアドバイス。現代では、尼になっては暮らしていけない。文筆業という職業があったから、私(=瀬戸内寂聴)はこうして暮らしていけるのだ。ゆめゆめ、尼僧の生活に幻想を抱かないようにと。へーぇ。仏門も俗世もあんまり変わりないのか。こういう通俗的なことをあっさり言ってのけられる寂聴さんは、なかなかである。

解夏の宵花散里は好まざり
女在りて源氏1000年星月夜

「柚子の会」同人最高年齢91歳、続いて76歳以下、・・みんな、観音様のような花散里は、好まないと言っていた。仏門の修行を終える解夏の宵でも、花散里的生き方を好まないというのは、大いなる矛盾である。女の業は御しがたき。

送り火の赤々とあり独り焚く

「ただ淋しい」ってことです!と威張って解説したら、全員「わかってるわよ」という顔をされてしまった。恐れ入ります。


写真のカップは、夫が亡くなった夏にさまよった京都・嵯峨野で買い求めたもの。なぜ、赤か、これがミソなのだが、いずれまた。ともかく、今となっては、懐かしい。カップの方は、画家でエッセイストの宮迫千鶴さんに買ってもらった。ソーサーは、自分で買った。別売りではないけど、ぐずぐず迷っている私に「カップは買ってあげるからさ、さっさとお買い」と宮迫さんが、一押ししてくれたわけだ。宮迫さんに感謝!