タイの報告

newmoonakiko2007-11-01

1年ぶりに訪れた、比嘉先生の農園。本当にバナナ園になっている。先生がひとりで耕した500坪のバナナ園だ。。開発者なのだから当然だが、EMを思いどうりに使って、耕さずに土を育てる。方法は、こうだ。雑草は、足で踏み倒す。その上にEM活性液をまき、米ぬかなどの有機物をおく。おさえにブルーシートを敷く。くその役にも立たなかった学術論文を破っておさえに使ってもよい。このくだりを話す先生は、いつも満面の笑みだ。2ヶ月で、草はかれて、ミミズが現れる。農園のまわりには、ギリシャのコスモスとか、珍しい花が植えられている。小さな植物園にする構想だ。水の施設はないから、雨水をためる。2年目に入り、有機物は泡盛の粕だ。これを根元においてEM活性液をかける。これだけなのだ。この農園を訪れた有機農業の専門家たちは、「ほう〜」と言って終わる。あまりに今までの農業とは違う。破天荒過ぎるのだろう。台風襲来で、このバナナの木は倒れたものの、すぐにしゃきっと立ち直ったという。比嘉先生の沖縄構想は、沖縄を有機農業県にすることだ。安いコストで生産性をあげなくては、この夢は実現できない。
そういう意味では、タイのサコンナコン県にあるロムガオ学園の取り組みは実に興味深い。まず、家の近くに穴を掘り、水漏れしないようにビニールシートを敷く。そこに雨水か、あれば川の水を引き込む。米のとぎ汁EM活性液を流す。すると、池がビオトープ化して、さまざまな小動物が生息するようになる。この池でナマズや食用ガエルを養殖する。さらにこの池のまわりに野菜の種を蒔く。池の水をかけると、野菜のできが違う。まず、一家がこれを食べる。自給自足できる。余った分を交換する。生産性があがれば市場に出す。現金収入の道ができる。サエム先生は、とてもユーモアのある人物で、「子どもは親のいうことはきかないが、先生のいうことは聞くよ。点数をあげるというとね、てきめん」。まず、この方法を子どもに教えて、親と一緒に池を堀り、畑を耕すように促す。米のとぎ汁EM発酵液やボカシの作り方も、子どもに教える。先生は、バイクで40人の生徒の家庭をまわって、点検するのだという。日本では「生きる力」というと、それが何かを即答できなくなっているが、タイでは明確である。「自らのいのちを養い育てる力」だ。そのためには、荒れ果てた大地をなるべく早く取り戻さなくてはならない。しかも、集落まるごと、みんな同じように。このような報告を聞くと、EMは単なる土壌改良材とはいえず、まちづくりのツールなのだということがわかる。タイでは、EMが無料で配布されている地域がたくさんある。
こんな話を聞いた日本人、誰もが口には出さぬがこう思ったに違いない。「もしものときは、この方法で自分で食べるものを作んなきゃ」と。日本では、製薬会社や閉鎖的な学界、その他諸々との戦いの連続だいうEMだが、庶民には強い味方だ。まずは、耕す土地を手に入れねばならないが・・。