お魚の危機

newmoonakiko2008-08-28

お魚の値段は、石油の値段だと初めて気がついたのは、この夏、石油(A重油という)の高騰で出漁しても赤字になると全国漁業協同組合連合会が一斉に休漁した時だ。漁業生産コストに占める石油の平均割合は3〜4割。特に大型船で近海に出漁するカツオやイカは、石油代が4割を占めるため、出漁すると赤字になる。このまま、石油が高騰しつづけるならば、日本国内の漁業関係者の3割が廃業すると予想される。まさしく、日本の水産業の危機だ。

魚の自給率は60%。世界がたんぱく源としての魚に注目しているため、輸入もままならない。かまぼこの原料となるスケトウダラでも、中国やEUに買われてしまうというのだ。資本力のある蒲鉾屋さんはいいにしても、中小の蒲鉾屋さんは危機だろう。価格維持をするためには、人件費を抑えるしかない。というように考えると、蒲鉾が別な蒲鉾に見えてくる。

では、国が石油高騰分を直接補てんするかといえば、「国民全体の税金であり、個人への補てんはできない」という。全漁連の幹部のひとりは、「1匹100円の魚に2円の支援金を上乗せして、スーパーで売ってもらい、その支援金を漁業支援にまわしてもらえないか」と話す。今、漁業者の数は約20万人、半分以上が60歳以上だから、後継者がなければ終わりだ。じゃ、養殖でと思ったら、えさ代が高騰してこれも難しい。

夕飯に食べる魚を早川に釣りにいくことになるのか。近所のスーパーには、魚がまだあるので、そんな生活は想像できないが。

ところで、人間にとっては魚の危機であるが、魚にとってはどうだろう?海の底で、のんびりその一生を終える、パラダイスな暮らしになるのかもしれない。