雲の上で野菜をつくる

newmoonakiko2008-12-05

高知県徳島県との境、山また山の中にある大豊町。写真は、標高700メートルの荒地で農業を始めた元歯科技工士の間さんだ。「有機のがっこう・土佐自然塾」を卒業して、就農をめざし農地を探してここにたどり着いた。農業の現実も厳しいが、歯科技工士の世界も厳しいことを知ってびっくりした。歯科技工士といえば、入れ歯や差し歯などを作る職業である。これから老人人口が増えて、いいんじゃないかと思う。ところが、歯科の乱立でこの世界も価格競争だというのだ。材料費はある一定の価格で決まっている。叩かれるのは、人件費。年収120万円になって、毎日毎日歯をつくって一生を終えていいかと考えたという。

その時、山下一穂塾長の本に出会う。両親の実家は農家だったが、両親ともに農業を継がなかった。祖父のやっていた農業。山下さんの野菜を食べている高知市内の知人に山下さんを紹介してもらって、感動した。同じ高知県にこういう有機農家がいたんだ。お金の問題じゃない、やってみよう。1年分の収入に当たる授業料と寮費を支払い、入塾した。

人は高齢化率ナンバーワンの限界集落と呼ぶ。この土地の棚田でお米を作る老人が、土地を貸してくれた。この風景、光、風なにもかも気に入ったという。生い茂った萱を刈り、隣町の施設がつくるEM生ごみ堆肥を撒いて、土にすきこみ、土づくりをした。JAS認定で許可されている農薬さえ使っていない。写真が2年目の畑だ。5種類の野菜1000円を1時間かけて週1回高知市内の10人の知人へ配達する。彼らが、美味しいねといってくれることが励みだ。

この畑から車で5分ほどのところの空き家になっていた別荘を買い、永住することを決めた。家の代金は、親から借りたという。納税証明書ないものにはお金を貸してくれない、と笑う。ご両親は、有機農業ならば応援すると言ってくれている。あとは、雲上の暮らしが好きなお嫁さんだね、と言ったら、その前に売り先を考えずに作った無農薬しょうがの嫁入り先をみつけなくちゃだって。