[食]夜の梅

私ほど夜の梅をみたものはないのではないか、と思う。泣いてみたこともあるし、ふてくされて見上げたこともあるし、嘆いて見据えたこともある。漆黒の闇にも底はあって、手をついてみれば、身は浮かぶ。よくみれば、そこに咲いているのが白い梅だ。若い頃には梅のよさはわからなかった。

勇気こそ地の塩なれや梅真白 草田男

梅は老人のものではないし、勇気は若者だけのものじゃない。

ところで、「夜の梅」というと、「とらや」の羊羹を思い出す。羊羹の切り口の小豆が、夜の闇にほの白く咲く梅を表すことから300年前に命名されたという。花より団子。梅より羊羹!私は元気。