ごっくん馬路村

newmoonakiko2009-03-05

ゆずで村おこしをした高知県馬路村。人口1000人の村になんと3万人が訪れるという。この村の96%は森林で、昔は営林署で栄えた村だ。安い建材の輸入によって林業は衰退。村は存亡の危機に。そこでどうにかしなきゃと立ち上がったのが、農協職員の東谷望史さんだった。この方、現在は組合長。この馬路村には、ゆずをしぼって酢の変わりに使うという食文化があり、それに注目したのだ。さっそく、農協が工場をつくり、ゆずのしぼり汁を商品化する。ところが、地元では当たり前の食材だが、都会ではなかなか使ってもらえない。地元のおばあさんたちをデパートに派遣して、ゆずを使ったお寿司など実演興行も行うが、いまひとつ手ごたえがなかった。

困った東谷さんの目を引付けたのが、「都会には村がない」というポスター。「ゆず」じゃなくて「ゆずの村」を売っていけばいいんだとひらめいたのだ。ここからのアイデアはすごい。まず、村を上空から撮影して「ぼくらはみんなここにおる」というポスターを作成。こんなポスター、都会の人にうけないわけはない。村では当たり前のものが、都会にはない。たとえば、山も畑も農家も村民の笑顔も。

「ゆず」そのものは、自家用なので農薬もかけず、どちらかと言えば、雑木林にほったらかしにされていたのだろう。農協は、すべて有機に転換し、JAS認定農家も15軒誕生した。柚子の絞りかすは堆肥化し、無料で有機農家に提供される資源循環もされている。

ゆずジュース「ごっくん馬路村」は全国的に大人気だが、すべて産地直送。今では、「ゆずの森構想」が完成し、元営林署は、ゆず工場となり、雇用の促進と観光客の誘致が同時に実現してしまった。森林鉄道のどんずまり。辺境の村だから考えて考えて考え抜いて生きて行く道を探すしかなかったという。なんだか、この話、のどがごっくんとする。

ところで、今日届いた「安全すたいる」という通販カタログには、ほったらかしレモンという小田原市根府川の無農薬レモンが1Kg1200円で掲載されている。「相模湾を臨む小田原市根府川の急斜面。雑木林のように見える放置された畑にたくましく生育しているレモンがあります。「ほったらかし」にされていたレモンに、年2度魚粉肥料を入れ、草を刈り取るだけ。藪の中で苦労して収穫した貴重なレモンです」とある。この一帯は、ほぼ有機レモンの一大産地になりつつある。知らないのは、市民だけかもしれない。