[食]自然農法のレモン

newmoonakiko2009-04-09

小田原有機農法研究会代表の石綿敏久さん栽培のJAS認定レモン。石綿さんは、300年続く農家だが、難病のお子さんが生まれたことが転機になり、自然農法に転じる。岡田茂吉が提唱した自然農法は、大自然を尊重し、その摂理を規範に順応することと、生きている土の偉大な能力を発揮させることを基本にしている。無肥料無農薬はもとより、耕さず、草は抜かない。石綿さんによれば、慣行農法とは相容れない方法だという。

お国は有機農業を推進するとかで、変わり者扱いされた石綿さんの身辺は急に忙しくなった。「なんだか、夢のようだよ」と。何が苦しかったかといえば、周りの農家の目だったという。パラパラと撒けばすむ(現在は、液体だが)除草剤を使わず、炎天下に草を抜く姿が嘲笑の的になったと。農村共同体の中で人と違うことをするのは勇気のいることなのだろう。気がついたら、地域の専業農家石綿さんひとりになったという。

自然農法で栽培した作物は、数年たっても腐らないが、有機肥料を使った作物は、少しづつ腐っていく。普通に化学肥料も農薬も使った作物はすぐに醜く腐る。自然農法の田んぼは、地温が2度高く、雪がすぐに解ける。農薬を使わないと自然の生態系が生まれ、ミミズもメダカもクモもカモもやってくる。適度な害虫が益虫を引き寄せる。

聞き手は、みんな主婦なので、この話にはピンとくるものがある。低体温と食べすぎは病気の源。土と人間の腸は同じなのかも。地温が高いのは、土の中の微生物のエネルギーなのよねとか。

ところで、自然食品店でも外見が悪いとクレームがつくらしい。皮を剥くミカンの外観を気にする日本人はおかしいんじゃないか、と痛い一言にみんなシュンとしてしまった。ドイツじゃ、割れた大根だって立派な商品として店頭に並ぶ。そうですね。切ってしまうんだから、割れてたって傷が多少あったってかまわない。外観のよさよりも生きた土で育った作物を評価して、その手間に見合う対価を支払うように消費者の意識が変わればよいのだ。あと、ちょっとかな?間に合うかな?