こごみの天ぷら

newmoonakiko2009-05-03

秋田県田沢湖の近くで採れた山菜の「こごみ」。山菜とりの名人Fさんは、妻を仙台において、秋田の山荘に移り住んでしまった。春から夏にかけて、山に入り、さまざまな山菜を見つける。秋には、きのこ狩りだ。これが、人生最大の楽しみだそうだ。

東京生まれの私には、この山菜がわからない。鎮守の森がかろうじて残っていただけで、森も山も知らない。木は庭木の名前、花は花屋で売っている名前、山菜など見たこともないし、当然名も知らないのだ。小田原に移り住んで、はじめて「ふきのとう」を友人からもらった。「ふきのとう」が自生している場所があるんだそうで、それは誰にも教えない秘密の場所なのだと。

山形県の友人は、まだ夜のうちに山に入り、亡くなったおばあちゃんの声のする方角に歩いていくと、目的の山菜があるのだという。熊や鹿に出会ったりしながら。そして、それも誰にも教えない秘密の基地なんだと、こちらも小田原の友人と同じことを言う。それって、何?まるで童話の世界ではないか?

友人たちがはまる山菜採り。昔の人が、食べられる草と食べられない草をより分けた必死の努力が脈々と受け継がれているのかもしれない。人間の生命を支えてくれる豊かな山を持たない都会の人間は、やっぱり寂しい。

くるとした形が個性的なこごみ。山菜独特のにがみが少ない。