愚かな母へ

チェルノブイリのかけはし」代表の野呂美加さんには、ずっと前に札幌ですれ違った。EMの開発者の比嘉照夫先生の講演会場への移動中、野呂さんが比嘉先生に執拗に質問していた。比嘉先生がとても丁寧に答えていたという光景は印象に残っているのだが、その内容については残念ながら覚えていない。

もし福島原発事故がなければ、野呂さんの名刺はしまわれたままだったろう。幸か不幸か、チェルノブイリの子どもたちへの保養活動の経験が日本の母親や子どもたちへ必要なことになってしまった。野呂さんの主張は、2つ、少なくとも妊婦と子どもは福島県外へ疎開させること、福島産の農産物は外へ出さずにその代わり農家に手厚く生活の補償をすることだ。莫大なお金がかかるが、今そこにお金をかけないと将来は莫大な医療費と人的な損失をこうむる。先が見えない政治家しかいないのか、と嘆いていてもしょうがない。

自分ができることからやる。この機に及んでEM菌を批判するトンチンカンな科学者や反原発平和運動家なんか相手にしてはいられない。EMは有機JAS認定の土壌改良資材。酵母、乳酸菌、光合成細菌など発酵系の有用微生物を共存させたものだ。万能なのは自然の理に叶っているから。

野呂さんと小田原駅から「踊り子号」に乗り込み、講演会の打ち合わせをした。彼女の捨て台詞、「放射能汚染よりもお医者さんの頭脳汚染が怖い」と。母親としては、敵にまわしたくないお医者さんが信頼できなくなるのはつらい。16日発売の野呂さんの記念すべき1冊目の本。小田原でのお話会は12月の初めに決定。そうそう、大磯町の国府小学校でのお話会は、PTA主催。150人ぐらいの参加者で、とても母親としてはつらい話だが、最後は希望をもって子育てしていこうという内容にみなさん納得した様子だった。私が子育てをした時代、もちろんいろいろと悩んだが、放射能の心配はなかった。なんだか、若い世代にとても申し訳ない。


学陽書房
2011年09月中旬 予価1,365円(税込) 
俵万智さんの短歌
子を連れて 西へ西へと逃げてゆく 愚かな母と言うならば言え