土壌の外科的除染

農林水産省生産局農業環境対策課の発表どうり、放射能汚染農地の除染が始まったようだ。国が治験した除染の方法は、3つ。1つ目は、表土削り取り、水による土壌攪拌・除去、それに反転耕だ。約4センチの表土を削り取ると土壌の放射性セシウムは4分の1になるが、10a当たり約40トンの廃棄土壌が発生する。草ごと削るとなんと97パーセント減るだそうだが、そりゃ、セシウムは2・5センチの深さに95パーセント存在するんだそうだから、そうなるに決まってる。

水による除染は、35パーセント程度。反転耕というのは天地返しというやつなのかな、下の土と上の土を入れ替える。これは、まだ結果が出ていない。

そこで、素人の強みを発揮した私、「(有機農業にとって表土10センチはいのち)微生物による除染実験はしていないのか」。課長さん、「微生物が何をさすかわからないが、微生物が放射能を分解するとは考えられない」と戸惑いつつ、予想した答弁。でもね、半減期が30年とかいっても増えていくのではなく減少していくのはなぜか?土壌を生き物とみるか、無機物とみるか、実に深い問題だ。

しかし、そんな議論してる間がないし、たぶん小さな有機農家は自分で除染しなくちゃなんない。どう考えても、土を動かすだけでは解決できないのは目に見えている。剥いだ土はいったいどうするつもりなんだ。ビニール袋につめてどっかの山に放り出すか、海を埋め立てる。まさかそれは不法投棄だ。はやり、植物と微生物の力を借りて、時間をかけて解決していくしかないのではないかと思う。河田昌東先生が提案する菜の花、大豆、そばの輪作による除染もいいし、それこそ光合成細菌らを増やし自然の浄化力をスピードアップさせる比嘉先生らの方法もいい。ふたつを組み合わせると鬼に金棒になりそうではないか。まさに植物と微生物のコラボ。なにより自然の摂理に見合う。

土壌や草の性質を知り、堆肥のつくり方に成熟した有機農家しか1センチも土を動かさずに除染することはできないのではないかと思う。国は興味がないなら、民間で情報交換するしかないか。やれやれ。