ベラルーシ国立放射線生物研究所

経験者に学ぶということは大事だ。残念ながら、広島・長崎の農地汚染にたいする調査報告はないので、24年前のチエルノブイリ事故での調査報告を知りたいとことろだが、これも共産圏という政治体制のためにその実態は今でも明らかになっていない。しかし、ソ連の崩壊とともに少しずつ調査報告が公開されるようになった。

ベラルーシ国立放射線生物研究所のアレキサンダー・ニキティン博士の「放射性物質で汚染された土地での有用微生物の利用について」も貴重な報告である。福島で記者会見したが、1局だけが放映したという。

1.土壌の肥沃度が上がると放射性核種の植物への移行率は下がる。
2.伝統的な農業放射線学では、石灰の散布、大量のカリウム肥料やリン酸肥料を施用することを奨励するが、このような大量使用では農業生産コストを上げるだけではなく、ストロンチウム90の作物への移行を充分に下げることはできない。
3.無機質肥料の大量使用によって、カリウム40やウラン238の崩壊によって生じる娘核種等の天然放射性核種が作物を通して人体に入り、余計な内部被曝を生み出す。これらの方が、セシウム137やストロンチウム90よりも影響は大きい。
4.チエルノブイリ原発立ち入り禁止区域で有用微生物(EM)を活用すると国内・国際基準を満たす野菜の栽培が可能だった。
1〜3までは、有機農業が日本を救うということになるのではないかと思える。4については、もっと精細なデータがあるようだ。福島でこの経験が役立つように祈らずにはいられない。