町と村を結ぶ市場

ここは東北タイ・コンケン県ポン郡。郡の施設の広場で、タイのおかんたちが座り採れたての野菜や手作り惣菜を売っている。地べたのマルシェだ。しかも、ここに並んでいる野菜は、すべてオーガニック!日本のNGOである「日本国際ボランティアセンター」が、「地場の市場プロジェクト」を支援して10数年。その成果だ。タイでは、1990年代、さとうきびやキャッサバという換金作物を作ることによって、自分の食べるものが作れない農家が激増した。しかも、化学肥料の投入によって地力低下し病虫害の多発、さらに価格変動のリスクが襲い、それらによってもたらされる借金問題が農家を苦しめることになる。大規模化の対極にある小さな自給的農業は、「生きるための農業」とも呼ばれているが、この朝市は、村の農民が自ら運営し、村やそのまわりの町の住民に販売する「町と村を結ぶ市場」」だ。あまった作物を直接に農家が売ることで、経済的にも自立することが可能となった。

毎週月曜日に開かれるこの市場。その日は、近くにある大手スーパーの売り上げが下がる。このお母さんの働きで、子供たちを大学に行かせたり、借金も返せたという。大事をなさんと欲せば、小さなる事を、怠らず勤む(いそしむ)べし。小積もりて大となればなり。まさに積小為大だ。

この市場の支援をしたのが、今回の旅のコーディネーター松尾康範さん。すばらしい仕事をしてタイと日本をつないでいる。