[食]棚田の米

新潟県の最北端に位置する岩船地方,旧朝日村。広大なブナの原生林の中にある。ここで採れる岩船産コシヒカリは、魚沼米、佐渡米と並んで新潟三大銘柄米と呼ばれているのも、森が生み出すミネラルたっぷりなよい水のせいなのだろう。「田んぼで穫れたものは田んぼに返す」の精神で、米ぬか、もみ殻全て地元の有機肥料を使用してお米をつくっている貝沼さんは、まだ30代。周りの農家が高齢になって、地域の田んぼが彼の背に負わされてきた。年々、耕作面積が増えてきたのは、喜ばしいことなのかもしれないが、一方、大丈夫だろうかという心配の方が大きい。アメリカの大規模経営と日本の大規模経営とは、本質的に違う。米の自由化で安い米が入ってきても、この美しい日本の棚田の米を支持できる日本人がどのくらいいるだろうか。彼の作る有機JAS認定コシヒカリは、お茶碗1杯65円だ。高いのだろうか?