種の話

農水省は「有機野菜は有機栽培された種に限る」と決めた。世界ではこれが常識なのだ。そもそも「有機JAS法」の規定では、有機野菜は有機栽培された種子に限ることになっている。が、「有機栽培種子」が流通していない日本では、「入手困難な場合は慣行栽培の種でもしかたない」という例外措置で免れてきた。法の規定を厳格に適用すれば、ほとんどの市販種子は「有機野菜の種」としては失格になる。現実離れした法律だったのだ。今後は「有機認証を受けた農家が自家採種した種」か、外国から輸入した「有機栽培種子」を使うしか「有機野菜」と表示して販売できなくなる。なんでこうなるのかな?まるで、有機農家をいじめているようだ。このままいくと「有機野菜」という表示の野菜は市場からなくなる。今まで支持してきた消費者はどうすればいいのよ。
IFOM主催で有機種苗セミナーでは、自然農法種子を採種し研究している自然農法国際開発研究センターや自家採種している有機農家の林重孝さん、日本の大手種苗会社、有機野菜を扱う生協団体などが一同に集まって「種子について」議論を行った。こんな種に関係する団体が集まったのは初めてだという。大きな背景には、米国モンサント社の遺伝子組み換え種子という最悪な世界戦略がある。いつ日本も巻き込まれるかという瀬戸際だ。有機種子どころではない、という話で、ともかく、小さな種苗を潰してきた大手種苗メーカーさんでもあっても、そこは日本人。モンサントの配下につくことだけはやめてねという感じかな。

日本の農地では面積が狭く採取には不向きと種苗メーカーがいうが、これは日本の土地の値段と人件費が高く経済的に成り立たないという話。私のブログでも紹介したイスラエル有機種子は日本の種子の2〜4倍の価格だが、もし本気で国内産の有機種子を販売するとしたら、かなりの金額となるという。これが現実だろう。そうした有機種子を買う農家がいるのか。もう、経済性で農業を語っても無理。野菜の栄養価が落ちているのは、次世代のいのちをすべて含む種子が年々弱くなっているのではないかというのは素人でもわかる。わかっている農家は、自家採種する。日本有機農業研究会には、その種を交換するネットワークもあるし、自然農法センターの自然農法産種子も3000軒の農家が使っている。しかし、有機農産物を全体の50パーセントにするとかいう政治目標には程遠い現実だ。増えていく耕作放棄地に農家OBが加われば、採取農場ができるのではないか?種子を農家の手に取り戻すことは、消費者にとっても益のあることのように思うのだが、どうだろうか?