「冷蔵庫で食品を腐らす日本人」や「台所リストラ術」などの著者・魚柄仁之助さんとお酢で洗髪する美容師・牧野裕子さん。このおふたりの話を南足柄市の某病院で聞いてから、もう20年になる。目からウロコというか、生活の作法を変えるに十分だった。私のような貧乏人にでもできるということ、しかもぐうたらでもできるということ、つまり誰にでもできるということ、それは普遍的な真理だと思うわけだ。だから、本当は深い哲学とか、難しい学問とかに通じることではあるが、まぁ、そのことはそばに置いて、暮らすことと生きるという信条が矛盾しないということは、実に気分のよいものである。これだって、なかなかうまくいかないのだけれども。魚柄さんには、台所においておくべき最低の食材を、牧野さんからは、シャンプーがないと髪が洗えないという呪縛から解放された。このときは、牧野さんはEM活性液で髪をリンスしてその取材にも京都まで伺った。有用微生物が髪を守るという感覚は、美容師さんならではないだろうか。写真は、かつお節、昆布、野菜の皮や芯でつくった自家製ダシ汁。魚柄さんのように乾物をそろえられないし、丁寧に食事をつくる時間もないので、1週間分を作りおきする。これで、既成のだしの素やスープの素から開放された。