桑の実

6.6haの山林を切り拓いた「うたがき健命園」を訪ねた。河内山耕・可菜夫妻。東京から岩手県江刺市(現奥州市)に移り住んで、18年という。まず、豚舎を改造して住まいにし、その下で養鶏を始める。自然卵を販売しながら、山羊に草を食べてもらってのちに畑にする、という繰り返しで、原野を開墾していった。大型機械など入らないから、機械の代用を自然や動物にしてもらう。蜂が集まる木や、実の成る木を植えてきた。電気はあるが、水道やガスはない。本格的な住いも自分たちの手で作りあげた。子どもは、中学生と小学生のふたり。

毎日の肉体労働の過酷さを嘆いていたバリバリの農業者が、この農園を見て「なんだか、ほっとするなぁ」と言っていた。ここには、自給率云々かんぬんとか、米の価格とか、農薬の問題とか、そんなことは関係ない暮らしがある。畑仕事で疲れたら眠り、雨や雪の日は、お菓子やジャムを作り、それにも飽きたら本を読む。社会ともきちんと向き合って、岩手でGM(遺伝子組み換え)米の実験が始まった時には、すぐさま反対運動を始めている。

こういう暮らし、おばさんにはできない。敬服!

可菜さんお手製の桑の実のジャム。甘酸っぱくて、ポリフェノールをたくさん含んでいる。

10年前ぐらいの河内山家
http://www.nca.or.jp/guide/iwate/ippo.html