物々交換

鍬のかわりにペンを持ち、最近は講演で忙しいという佐藤宏さん。西日本新聞の記者だ。連載中の「食卓の向こう側」は、食と農の現場を丁寧に取材したルポ。あくまでも生活者の視点で、問題を浮かび上がらせる。いい仕事をされていると思っていた。タイツアー…

森村桂の人生

不思議な存在・森村桂の夫が書いた、これまた不思議な本。三宅一郎著「桂よ。わが愛その死」。とあるところに置かれていて、小1時間で読んでしまった。デビュー作「天国にいちばん近い島」か、70年代の人気流行作家。私は、桂ワールドにはまることはなかっ…

米原万里・他諺の空似

ようやく仕事が一段落。黒米入りのご飯、けんちん汁、白和え、きんぴら、ブロッコリーなどの温野菜。冷蔵庫で今にも死にそうだった野菜を救う。いくら、いい野菜だって調理しなくては絵に描いた餅。宝の持ち腐れだわさ。お箸を持ちながら(お行儀が悪い?)…

金木犀の咲く墓地で

我が家のお墓はJR高尾からバスで10分。多摩丘陵にある八王子霊園。小田原から往復4時間。確かに遠い。「もっと家の近くのお墓にしないと、君たち(家族)が来ないだろう。墓石も自分で探すぞ」というのが、生前の夫の口癖だった。お墓がすでにあるのだか…

上野千鶴子著「生き延びるための思想」

1970年代のウーマンリブの風に乗っていくはずだったのが、落とし穴にはまるような恋愛をして、一直線に母親になった。母親とフェミニズムほど、すわりの悪いものはない。男と同じようにとか、男並みとかそんな考えはまったく脳裏から消えた。 ただ、イラク収…

香山リカ著「私の愛国心」

今日は日曜日ですよね。半日掃除をして我が家のごみ問題を解決し、午後はピース・カフェの会議に出席。日々の暮らしから平和を問い直すという趣旨のフリーペーパーの内容をどうするか。意見交換のための広場にとどまらず、もっとラジカルに憲法論議に踏み込…

子どもにつたえる日本国憲法

発売以来気になっていた「井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法」(講談社)を読む。いわさき ちひろさんの愛にあふれた絵と井上さんの細部まで磨かれた平易な言葉のコラボ。憲法を絵本にするという発想もすごい。無機質な憲法にいのちが吹き込まれ、私に…

タンパク質の音楽

この間、友人にトマトをあげた。そのトマトを食べた彼の妻が、あまりの美味しさに感激して、いったいどこで買えるかをインターネットで調べたという。湘南トマトというブランドで流通していることが分かったが、ネットでは買えなかったそうだ。トマトもネッ…

円環する男と女ー両性具有の時代へー

昨日の暑さ一転寒い。昨日そうめん、今日鍋焼きうどん。昨日扇風機、今日コタツ。昨日男、今日女。両性具有の季節???最近、しっくり読んだのがこの本。知る人が知るカリスマ精神科医・加藤清さんとエッセイストで画家の宮迫千鶴さんの対談集。以前、大阪…

女は出産、男は武道!?

三砂ちづるさんの「オニババ化する女たち」(光文社新書)は、女性たちの間で評判になった本だ。若い編集者がこのタイトルをつけたらしいが、なかなか刺激的かつ挑戦的だ。女という性を大事に生きていこう、つまり月経、性、出産という本質的な女の身体性を…

あの世とこの世

先週の大阪出張、片道新幹線3時間で読んだ文庫本2冊。瀬戸内寂聴VS玄侑宗久「あの世この世」、佐藤愛子VS江原啓之「あの世の話」。対談ものは、1回読んで2度おいしいものだが、2冊一挙に読むと、5〜6倍おいしい。前者は、もちろん仏教の教えをやさしく解説…

立花隆と柳原和子

今年のお正月、私は何冊かの本を買い込み、読書に明け暮れた。1回手にした本は必ず最後まで読み切る、ページをめくるだけの箇所があっても、ほとんどの本はそうしてきた。ところが、この2冊だけは、どうしても読み切れない。両書とも、膨大な資料を駆使し…